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忘れられかけた機関。

天空に浮かぶ街、オルビス。
雲の上にあり気候も常に穏やかなこの街は活気に溢れ所々から笑い声が聞こえてくる。
そんなオルビスの街を何やらどんよりとした、暗い表情で歩く女性の姿があった。
「あー…協力…んー…無理…なぁ…」
力の無い瞳で前を見つめ、ブツブツと一人言を吐く彼女の姿は不気味としか言いようが無かった。
そんな奇怪な彼女の言動とその珍しい服装は通行人の視線を彼女の元に向わせてしまう要因である事は間違いないのだが当の本人はそんな事も気にする様子も無く尚もブツブツと一人言を言いながら歩き続ける。
階段を上り、梯子を登り、街の少し高台に辿りついた彼女は不意にそこに立ち止まった。
そして地面に膝を着き、手を顎に当てまじまじと地面を見つめ続ける。
「あー…確かにちょっと'解れてる'か…」
彼女の見つめる先、そこは紛れも無く地面であるのだがその地面には何やら'陣'のような物が浮かび上がっている。
やや力無く光るその'陣'を彼女は選定するかのように見つめ2,3度首を縦に振り腰に携えていた刀を抜いた。
「それにしてもやっぱり私達だけじゃ厳しいよねー…これ…」
刀を眼前に掲げ、眼を閉じる。
「いくら少数精鋭だの言っても人数が足りてないだけじゃないのこれじゃあ…」
絵を描く様に、字を書く様に、刀を振る。
「やっぱり…どこかに協力してもらった方が効率もいいよねぇ…」
そのまま舞う様に足を動かす。
「とは言っても…どこに協力を要請すればいいんだろう…なっ、と。」
地面に刀を突き立てる。

ブツブツと愚痴を呟きつつも一連の行動を終えた彼女は刀を再びに鞘に収めた。
'陣'を見ると、先ほどのように力の無い光とは打って変わって眩い光を放っている。
その様子を見て彼女は満足気に微笑み、うん、と頷いた。
「何をなさっているんですの?」
「きゃあああ!?」
一仕事終えて気が抜けた所に突如後ろから声を掛けられた彼女は聊か大げさにも思えるようなリアクションを取る。
思いの他強烈なリアクションを取られてしまった為、声の主。メイフィ=イェルドは申し訳無さそうな顔をして頭を下げた。
「ご、ごめんなさい…驚かせるつもりは無かったのですが…」
「あ、ご、ごめんね?急に後ろから声かけられたからビックリしちゃって・・・」
メイフィと目が合いお互いに謝罪をし合う。はたから見れば奇妙な光景そのものである…
ひとしきり謝って落ち着いた所でメイフィは改めて質問をした。
「え、えっとそれで何をなさっていたのでしょうか?」
「ちょっとこの'守護陣'の修繕をしていたんだよ。」
そう言って彼女は地面に指を差した。
力強い光を放っている'陣'を見てメイフィはまたしても疑問の表情を浮かべた。
「'守護陣'の修繕・・・?」

ここで'守護陣'についての説明をしたいと思う。
'守護陣'は街や村等、人が生活する区域に必ず施されている'魔法陣'の事だ。
簡単に効果を言うと'守護陣'を描けばある一定の範囲は魔物は近づくことができないという訳である。
一種の魔法である事には変わりは無いのだが人が使う魔法と違う点は'マナ'を引き出す場所だ。
メイジ達が使う魔法は人体のマナを'現象'に変えて放出する物であるのに対してこの'魔法陣'は、'陣'を描いた場所の地脈や自然界に存在しているマナを利用し'現象'を放出し続けるという物だ。
'陣'を描けばその'陣'が消滅するまで'現象'を放出し続けてしまう為、攻撃魔法として転用するのは現状では難しいとされている。
そのため放出し続ける事が寧ろ好ましい'守護陣'として利用されるのが一般的である。
尤も、その'陣'を描ける人間は数少ないのだが…

「'守護陣'は知ってると思うけどこれって実は永久機関って訳じゃ無いんだよね。これは知ってる人はあまりいないのかな?」
そう聞かれメイフィは正直に知らなかったと首を縦に振った。
「時間が経つと段々'陣'が'解れ'て来ちゃうんだよね。だから私達が時々こうやってその'解れ'を修繕してるんだよ。」
そうやって語る彼女の顔は少し得意気だった。
「改めまして初めまして、私の名前は'鈴音藍'(Ai=Suzune)。守護機関'アマテラス'に所属してる巫女だよ。貴方の名前は?」
藍と名乗った少女は手を差し出し、にこりと笑顔を向けた。
「初めまして。私はメイフィ=イェルド。ギルドAssembleの副マスターを務めさせて頂いております。」
そう言って差し出された手をメイフィは握り返し自分も自己紹介をした。

「へぇ~メイちゃんってギルドの副マスターさんなんだ?」
藍はかなり人懐っこい人物のようだ。馴れ馴れしいと言っても間違いでは無いが不思議とメイフィは嫌な気分にはならなかった。
「えぇ、といってもまだ小さいギルドなんですけどね…」
そう答えてメイフィはリーンの姿を頭に思い描く。
この言葉は彼がギルドを紹介する時によく使っている言葉だが自分で言ってみて彼がどんな気持ちで発言しているのかよく解った気がした。
「ねぇねぇそのギルドってどんなギルドなの?」
「えっと一応魔物狩りギルド…って事になっていますけど……うちのギルドマスターさんはちょっと変わった人なので時々人探しとかそういうのも請け負ったりしますね…」
「あ、勿論悪い人では無いですよ!」とメイフィは慌てたように付け加えた。
藍はそれを聞いて少し考えるように顎に手を当て「う~ん」と唸った。
といっても数秒もしない内に答えは出たようなのだが…
「もしよかったらちょっとギルドマスターさんとお話させてくれないかな?」
藍の突拍子も無い発言にメイフィは今日何度目かになる疑問の表情をまた顔に貼り付けた。

藍の唐突な頼み事にメイフィは戸惑ったが、真剣な様子の藍を見てそそくさとリーンに連絡を取った。
丁度、依頼に一段落がついた所だったらしく「すぐに行く」とだけリーンは告げた。
事実、数分程度でリーンはすぐにやってきた。
「どうかしたのか?メイフィ…ん、そちらの人は?」
「あ、急にごめんなさいリーンさん。えっとこの人は…」
紹介しようとメイフィが藍の名前を告げる前に藍は自分から名乗り出た。
「初めまして、鈴音藍です。えーと…守護機関'アマテラス'に所属しています。」
'アマテラス'と名を出したところで通じる人間は今となってはさほどいない。
それを理解してるため、やや遠慮がちに名乗ったのだが…
「あの'アマテラス'に…?ほう…」
リーンの意外な反応に藍は少し目を丸くさせた。
「え?知ってるの?」
「勿論だ。街の平和が保たれているのは貴方達のお陰と言っても過言ではないからな。」
「あはは…そう言って貰えるとなんだか照れるな…」
恥ずかしそうに藍は頬を指で掻いた。
「それで、僕に何の様があるんだ?」
「あぁ、うん。簡単に言うと…貴方達のギルドに手伝って欲しいことがあるの。」
「ギルドへの依頼と言う事か…?」
そういう事、と言うように藍は頷いた。
「意外だな…'アマテラス'は少数精鋭と聞く。基本的には自分達だけで物事を行うと思っていたが…」
率直な疑問をリーンは口にすると、藍は苦笑いをした。
「少数精鋭なんて言うと聞こえはいいけどね…実際は単純に人数不足なだけなんだよね…」
はぁ、と溜息を付いて藍は言葉を続けた。
「自分で言うのもアレだけどさ…'守護陣'って街に無くてはならない物だけどさ…でも今の時代'守護陣'がある状態が当たり前だと皆思っててそれを維持する為にある私達の存在も知っている人が少ないって言うか…」
そこまで言い切ると藍はまた溜息を付く、今度は更に重く、どんよりとした溜息だ。
「な、なるほどな…だが僕達にできる事なんてあるのか?」
「難しい事じゃないよ。貴方達は色々な場所を行き来してるでしょ?その際に街とか村に立ち寄る事があったら'陣'の様子を見て欲しいの。それで状態を私に連絡して欲しいんだよね。」
なるほど、とリーンは腕を組んだ。
そして浮かび上がった一つの疑問を口にする。
「どうして僕達のギルドなんだ?そういう事ならもっと然るべき場所に依頼する方がいいとは思うが…」
「あー…ぶっちゃけると何処でもいいんだよね。これは私自身が勝手に決めてる事だからさ…たまたまさっきメイちゃんと知り合ってギルドに所属してるって聞いたから…」
まぁ、勿論後で本部には連絡するつもりだけどね、と藍は付け加えた。
尚もリーンは腕を組んで、考えるように目線を宙に飛ばしていたがその答えが出るのは時間が掛からなかったようだ。
「そういった街の治安の維持の手助けをするのも僕達の役目だ。是非協力させてくれ。」
「本当!?有難う!!でも……一つ問題があって…」
「問題?」
藍は申し訳無さそうな顔をして、声を小さくして答えた。
「人数が少ないだけじゃなくて、いまお金の方も余裕が無くて…こっちから報酬が出せそうにないんだよね…」
要するにタダ働きをしてくれという事か、とリーンは口には出さなかったが頭でそう思った。
無くてはならない筈の存在の'アマテラス'が今はこんな状態。そう思うとリーン自身も何だか切ない気持ちになった。
「あぁ、それでも構わないよ。さっきも言ったがそういう街の平和を維持するために活動するのも僕達の役目だしな。」
リーンはそう言ってメイフィに目配せをした。
メイフィ自身もそう思ったのか頷いて笑った。
「えぇ、その通りだと思います。私達も協力させてください。」
「え、本当にいいの!?」
藍としては…言い方が悪いが「タダ働きをしてくれる都合のいい人達」を探していたのは事実なのだが…
こんなにあっさりとそれを承諾してもらえるとは本人は思っていなかったので藍はとてつもなく申し訳ない気持ちになった。
「そうだ…私も何かそっちに手伝える事って無いかな?お金は出せないけど、私にできる範囲だったら何でもするから…」
「いや、別に気にすることは…」
「お願い!!私このままじゃ汚い人間になっちゃう!!!!!!!!」
「お、おおう…」
藍の剣幕にリーンはたじろぎ、妙な声を上げた。
リーンとして別に大した手間では無さそうだからタダ働きでも一向に構わないと思っていたが…
藍の様子を見るに何かしら彼女に頼まないと彼女は気は済まなさそうだな、と思った。
「確か…'アマテラス'はギルドには分類されていないのだったか?」
「うん?まぁ、そうだけど…」
「なら、可能なら僕達のギルドに入ってギルドメンバーとして依頼をこなしてくれないか?勿論そっちの業務を優先してもらって構わない。時間があるときでいいんだ。」
「えーと…多分大丈夫だと思うけど…でも、そんな事でいいの?」
「ギルドメンバーとして依頼をこなすと言うのはギルドの信用に繋がっていくからな。ギルドとしてはこれ以上に嬉しい事は無い。」
藍はリーンが遠慮をしていると思っているようだが実際これ以上にやってもらって嬉しい事が無いのは事実だった。
ギルドの信用が高くなればそれだけ様々な所で何かと融通が聞くようにもなるし。何より…どこぞの秘書の嫌味を聞くことも無くなる…
「うーん…解った!それだけいいなら喜んでやらせてもらうね!!じゃあ、私はこの話を早速本部に行って連絡してくるからまた後でね!!」
「あ、おい!」
引き止める間も無く藍はそそくさと走っていってしまった。
「落ち着きが無い奴だな…」とリーンは呟いた。
「でも…藍さんはこの'守護陣'を修繕するための巫女さんなんですよね?魔物狩りなんてできるんでしょうか…?」
「あぁ、心配には及ばないさ。'アマテラス'の役目は魔物退治というのもあるからな。魔物狩りに関しては寧ろ僕達よりエキスパートだと思うぞ?」
「そうなのですか…?」
メイフィは驚いた表情でリーンを見た。
天狗になっている訳では無いが自分自身としては本などで様々な知識を持っているつもりであったがリーンは自分の知らない事をさも当然のように知っている。
「リーンさんって…様々な事を知ってますよね…感服します…」
「いや…メイフィよりちょっとだけ長く生きているだけだよ…大した事じゃないさ…」
そうは言っても、年齢なんてほとんど変わらない…と思う。
よくよく考えてみればメイフィはリーンの事を何も知らない。
年齢も近いとは思うが実際の年齢は解らない、彼が昔何処で何をしていたのか、それも解らない。
「まぁ、ギルドメンバーが増えるというのは喜ばしい事だな。ギルドの事は良く解っていないだろうから色々教えてやってくれよ?メイフィ。」
「あ、はい。お任せください。」
リーンに聞きたいことが急速に増えたが…メイフィは結局それを口にすることはできなかった。

※キャラクター紹介に「AiSuzune」を追加しました。

suzune.png
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| 小話 | 19:03 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

お願い!!私このままじゃ汚い人間になっちゃう!!!!111

| 名も無き者 | 2011/11/06 19:09 | URL | ≫ EDIT

アイス=ウズーネたそ~

| 名も無き者 | 2011/11/06 19:18 | URL |

名も無き者A>
それがどうしたというのだ!!

名も無き者B>
だれだよ!!まちがってんぞいろいろ!!

| LeanKurusimo | 2011/11/09 00:37 | URL |















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