HOME

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

小さな家出娘

亜人の村、リプレに1人の青年が歩いている。
まるで何かを探しているかのように村を東へ歩き、西へ歩く度にその顔が何処か陰っていく様に見えるのは目深に被っている帽子のせいだけでは無いのだろう。
所々で立ち止まり周りを見渡し、高台に上り村中を見下ろす。
それら一頻りの行動を行った後、青年。シカフ=ヤットレイは「はぁ…」と少し大きな溜息を付いて近くにあったベンチに腰を下ろした。
「あぁ…全く何処にいるんだか…」
頭を抱えてそう青年は呟いた。
「…例の子か?」
一人言のつもりで呟いた言葉に思わぬ返答が返ってきた事に青年は少し驚いたように身を強張らし声の主に目を少し動かした。
「なんだ、兄さんか…ずっと探しているんだがね…」
目に映った人間が自分の知り合いである事が解るとシカフはそう答えた。

シカフがギルドに入ったその日、シカフから見せられた一枚の写真。
その写真の子はギルド全体で探しているが…今だに見つかることが無い。
「探し始めてもうかなり経つが今だに見つからない。もしかしたら…という事もありえるかもしれないな…」
俯いているシカフに向けてリーンは言った。
それを聞いたシカフは「それ以上言うな」と言う様にリーンを鋭い眼光で睨み付けた。
「…一箇所に留まっている人間と動き回ってる人間。どちらが見つけにくいかは言うまでも無いだろう?」
遠まわしだがこれはリーンなりの励ましだった。
言葉の真意を理解したシカフは顔を少し綻ばせる。
「あー悪いね、なんか兄さんには気を使わせてばっかだな。」
その言葉にリーンは無言で軽く首を横に振った。
「それはそうとこれはただの興味本位なんだがちょっと聞きたい事が…」
「ん?なんだい兄さん?」
「お前とその子はどういう…」
「あ、こんな所に居やがった!おい!オッサン共!!!!」
リーンの問いかけは唐突に遮られる。
振り返ると見た目可愛らしい少女…レイ=ミュエルがこっちに向って走って来ていた。
「ハァ…探したぞ変態野朗。」
「相変らずキッツい挨拶だなぁ…どうしたんだ?こんな所まで」
そんな挨拶も笑って流しながら、シカフはレイに問う。
レイの体は汗だらけで息も絶え絶えとしていた。しばらくその場でぜいぜい、と体を上下させていたが少し呼吸が落ち着くとようやく答えた。
「どうしたもこうしたもねーよ。テメェが探していた子が見つかったんだよ。」
それを聴いた瞬間シカフは笑い顔を引き剥がし真剣な物となり、レイの肩に掴みかかった。
「本当か!?何処だ?何処にいたんだ!?」
勢い余って捲し立てるように喋る度にレイの体が揺れる。
レイは軽く舌打ちを掴まれていた手を跳ね除けた。
「うるせぇ。騒ぐんじゃねーよ変態…」
「あ、あぁ悪いな…それで、何処にいたんだ?」
「アクアロードだよ。街中でうろついていた所を偶々俺とメイフィが見つけたんだ。今はメイフィが引き止めてるからお前はさっさとアクアロードに行け。」
「あんな所に…解った!有難うな!!いつか埋め合わせさせてくれ!!」
それだけ言ってシカフはそそくさと船着場に向けて走り出した。
その後ろ姿を睨み付けながらレイは深呼吸をすると暑苦しそうに自分の服をパタパタと動かして体に風を送った。
「えらく汗だくだな。こういう事は面倒臭いからやらないんじゃなかったのか?」
少しニヤつきながらリーンはレイに言った。
「あぁ?っせーな。どうでもいいだろ…」
レイの様子を見るにかなり走ってここまで来たのだろう。
レイはレイなりにシカフの事を気にかけていたのだろうが…それを聞いた所で答えるような奴ではないというのはもう解っている。
「本当、素直じゃないな…それじゃあ僕も行くよ。有難うなレイ。」
「何勘違いしてんだよ…さっさと行けよオッサン…」
そんな捨て台詞を聞いてリーンはレイの頭を軽くポンと叩きシカフを追った。


海中に存在する街、アクアリウム。
このアクアリウムは海の底の峡谷に浮かんでいるとされる場所だ。
'ホリコラス'と呼ばれる海を浄化する神秘の力を持っている石によってこの場所は峡谷の上に浮かび、人々もそこで生活する事ができていると言われている。
そのアクアロードの中にある動物園の中から声が二つ聞こえてくる。
「ねぇねぇお姉さん。あの白いモコモコしてるのはなんていうんですかぁ?」
「あれはイエティですね。この海の上にあるエルナスに住んでる雪男さんですよ。」
動物園の中には女性が二人が仲睦まじそうに話している。
1人の女性はいつも手に本を抱えている…メイフィ=イェルドだった。
そしてもう1人まだ幼い顔立ちの少女は…
「ドロシー!!」
後ろから聞こえる大きな声と足跡に二人は振り返る。
必死な形相でこちらに迫ってくるシカフにメイフィさん少し驚いた顔をし思わず一歩後ろにたじろいだ。
「あー!!シカフ兄さんやっと見つけたー!!」
「それはこっちのセリフだ!!お前今まで何処に行って…あぁ、それより何処か怪我は無いか?痛い所は無いか?」
「だ、大丈夫だよ…相変らず心配性だなぁシカフ兄さんは…」
ドロシーと呼ばれた少女は少し困ったような顔をシカフに向けた。
何処も怪我が無いと安心したシカフは「よかった…」と心の底から安堵した表情を見せ、その瞬時に真剣な面持ちとなった。
「お前、本当に今まで何処に行っていたんだ!?俺がどれだけお前を探していたと思ってるんだ!?」
シカフの怒った声にドロシーはビクリと一瞬体を震わせたが、即座にシカフの目を見て言い返す。
「それこそこっちの台詞だよ!!シカフ兄さんこそ急に家を出て行っちゃって私もずっと兄さんを探していたんだよ!?」
珍しく大きな声を上げて言いあってるシカフに隣から見ていたメイフィはなんと声を出して良いか解らずオドオドとしていた。
そこに少し遅れて現れたリーンが声を掛ける。
「どうやらあの二人ずっとお互いを探し合ってて入れ違いになってたようだな…」
「あ、リーンさん…みたいですね…」
「それはそうとメイフィ、あの二人って兄弟なのか?」
「どう…なんでしょうね?あのドロシーちゃんはお兄さんと呼んでいるみたいですけど…」
二人は言いあっているシカフとドロシーの顔を交互に見比べる。
顔立ちは全く似ておらず兄弟と言われてもしっくりこない。
そんな二人に気付いたのかシカフは言い合いを止め二人に申し訳ないような笑みを浮かべた。
「あ、あぁすまんね二人共。見苦しいところを見せちまったな…」
「いや、別に構わないんだが…その子がお前の探していた子で間違いは無いみたいだな…」
「あぁ。コイツはドロシー=シーロック(Drosy=Searock)って名前だ。」
不意に紹介されたドロシーは「ど、どうも…」とリーンに向って頭を下げる。
二人を兄弟だと思っていたリーンであったが苗字が異なっている事に益々二人の関係が何なのか解らなくなる。
「シカフ兄さん…この人は?」
「あぁ、俺が世話になってるギルドのギルドマスターさ。この人もお前を一緒になって探してくれていたんだよ。」
「え、兄さんギルドになんて入ってたんだ…え、えぇと兄がいつもお世話になっております。」
またしても頭を下げるドロシーにリーンは微笑む。
「初めましてドロシー。僕はリーン=クルシモ、一応ギルド『Assemble』のマスターを務めさせて貰っている人間だよ。」
そう自己紹介をしてリーンはドロシーに向って恭しく頭を下げた。
そんな二人を見ていたシカフだったがまた表情を硬くしてドロシーに顔を向ける。
「とにかくドロシーお前は家に帰るんだ。おじさんとおばさんも心配しているんだぞ?」
「いーやーでーすー!兄さんが家に帰るまで私も帰りません!!」
「お前なぁ…大体、俺がいつまでも世話になってる訳にはいかないだろ?」
「兄さんだってもう私達の家族なんだよ!?そんな事気にする必要なんてないじゃない!!」
「まぁまぁ、落ち着け二人とも…」
かなり大きい声で言い争っている事もあり通りすがりの人達の目線が痛くなったリーンが思わず口を挟む。
それでも二人はまだ何か言い足りないように「ぐぬぬぬ」と唸っていたが不意にドロシーは何かを思いついたのか顔を急に明るくさせた。
「そうだ!だったら私もシカフ兄さんの入ってるギルドに入れてよ!兄さんが戻るつもりが無いなら私も家に帰らないし、同じギルドならいつでも連絡が取れるでしょ?」
「お前何をバカな事…兄さんまで困らせるような事を言う…」
「いや、僕は別に構わないが…」
「おぉイ!?兄さん!?」
リーンの思わぬ返事にシカフは素っ頓狂な声を上げた。
「兄さん、このギルドは魔物狩りだろ?コイツに魔物狩りだなんて…」
「別にこのギルドに所属しているからといって魔物狩りを強制するつもりは無いさ。他のメンバーだけでも十分に魔物狩りはしている訳だしな。」
「いや、でも…」
「それに、この子はお前が家に帰るまで絶対に帰る気は無いみたいだぞ?だったらいつでも連絡が取れていた方がお互い安心だろう?」
「だけど…なぁ…」
シカフとしては魔物狩りをするしない関わらずとにかく家に帰って欲しいという気持ちのようだ。
事実、魔物狩りを自らするかしないかという気持ちは関係無く旅をする以上いつ魔物に襲われてもおかしく無い訳なのだからその心配も当然と言えばそうであるのだが。
「私だってちょっとぐらい戦う事ぐらいはできるよ!ほら!」
そういうとドロシーは弓を構えるかのように手を前に突き出した。
何をするつもりか、とリーンは首を傾げると、光が形を成し、ドロシーの手には光の弓が携えられていた。
その弓をドロシーは見せびらかす用にこちらに向ける。
「おぉ…君は魔法が使えるのか?すごいじゃないか…」
この世界で'魔法が使える'ということは自体は何も珍しい事では無いが、
まだ幼い少女が魔法を使えるという事実にリーンは驚きを隠せないでいた。
「えへへ~とはいってもまだ弱いですけど…」
「シカフ。ドロシーは魔物狩りもできるみたいだぞ?僕達のギルドに入ることに何も不都合は無いみたいだが?」
シカフは頭を掻いて顔を顰め尚も悩んでいるようだった。
「お願い、シカフ兄さん。兄さんを探すのが家出した一番の理由だったけど何より私ももう少し色々な所を冒険したいの!お願い!」
どう言っても聞いてくれそうにないな、と思ったシカフはやがて諦めてため息をついた。
「解ったよ…すまないな、兄さん。しばらくの間ドロシーもちょっと厄介にさせてくれないか?」
「あぁ、勿論だ。それに、女の子が入ればメイフィも嬉しいだろう?」
「えぇ、何だか妹ができたみたいです。」
メイフィはドロシーに近づきそっと頭を撫でる。
「でもドロシーちゃん。ちゃんと家の人にお手紙か何か書いて連絡しないとダメですよ?」
「はーい。」
「あと、それから危ない所には絶対に近づくなよ?もし何処かに行くのなら俺に何処に行くのかちゃんと伝えて…」
「もう…シカフ兄さんは本当心配性なんだから…」
話がまとまり3人が喋る様子を見てリーンは少し微笑む。
そして忘れない内にシカフに聞こうと思っていた疑問を口にした。
「そういえば…シカフとドロシーのどういう関係なんだ?兄弟かと思ったが苗字が違うようだが…」
「あー…兄弟ってのは間違ってないな。うん…」
シカフは少し言い淀んだが、すぐに言葉を続ける。
「実は俺、孤児なんだよ。それでドロシーの家にお世話になっててな…だからドロシーとは義理の兄弟っていう感じだな…」
「孤児…?そう、だったのか…」
全く想像していない返事が返って来た事にリーンは返事に困ると同時に悪い事を聞いてしまった、と思った。
「おいおい、そんな暗い顔しないでくれよ。孤児って言っても悲劇的な人生なんて送って来た訳じゃないし何も語れる事なんて無いぜ?」
シカフはそう言ってニヤっと笑った。
「シカフ兄さん…」
「とりあえず、まだ暫くよろしくな兄さん。」
「あ、あぁ…こちらこそよろしく頼むよシカフ。それとドロシー。」
何て事無いと言う様にいつもの調子で笑うシカフだが・・・その表情に少し影が合ったのはきっと気のせいでは無いのだろう。
だが、そんなシカフにリーンは何も言わなかった…いや、何も言う事ができなかった。
今は、新しく入ったこの小さな少女を心から歓迎しようとリーンは考えた。

drosy.png

※キャラクター紹介に「Drosy=Sealok」を追加しました。
スポンサーサイト

| 小話 | 22:18 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

このギルドにまだ二名しか所属していなかったころがなんだか懐かしいですね。
こういうのは増えすぎると萎えたりしますが
Assembleさんの場合、スゲー増えねえかなとか期待してます。
30人くらい。
48人そろったら歌でも歌えばいいと思います。

| とむ | 2011/10/23 23:25 | URL | ≫ EDIT

アイヲンチュー

| 名も無き者 | 2011/10/24 01:39 | URL | ≫ EDIT

とむさん>
やりたい職業が出るたびにキャラ設定考えて無理やり後付け設定捩じ込んで追加していくのが当ブログでございます。
某なんとか48のようにAssembleメンバー人気投票でもやったらどうなるのかと思いましたが全員0票で終了するのが明白なのでやめておきます…

名も無き者>
アイニージュー

| LeanKurusimo | 2011/10/24 09:33 | URL |















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://kurusimo.blog39.fc2.com/tb.php/86-27b19e71

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。