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はじめての集会

「はい。ではこれにてギルドの更新手続きは完了です。」
レアは眼前の男性にそう告げ、会釈をした。
その眼前の男性…リーン=クルシモはふう、と軽く一息ついた。
「それはそうと…このギルドも随分人数が増えてきましたね。」
「まぁ、な。色々あったが中々賑やかなギルドになってきているよ。」
「と、いっても他のギルドに比べたらまだ人数の少ない小さいギルドであるのは変わりませんけどね。」
少し得意気になったリーンはその言葉にすぐに「ぐっ」と唸った。
その姿を見てレアは嫌らしい笑みを浮かべた。
「まぁ、それはともかくとして貴方のギルドもそれなりに人数が増えてきたのですし副マスターを誰かに任せてみたりはしないのですか?」
そう言ってレアは引き出しから資料を取り出し数ページ開いてからそれをリーンに見せた。
「副マスターの役目等はご存知だとは思いますが…まぁここに書いてある通りそれを貴方の好きな人数選任することができますよ。
 とはいってもまだ人数はさほど多くないですし1人ぐらい選任すれば十分だとは思いますが…」
「副マスター…か…」
副マスターは今、自身のやっている事、つまりギルドの更新手続きや新たなメンバーの加入等をマスターの代わりとなって行う事ができる。
つまりマスターの信用に足りる人間が副マスターの権限を与えられると言う事だ。
リーンのギルドはまだ小さいギルドである為自分一人でまかなう事ができるといえばできるが近頃は少しばかりこういった作業を一人で行う事が厳しいと感じ始めていた…
どうするかと、リーンは考えしばらくその場で唸っていたが、
「よし」
やがて何かを思いついたかのように頷いた。


「あー…かったりぃな…」
街の喧騒に紛れて呟く声が一つ。
一見可愛らしい少女のように見える'彼'から発せられた声はあまりにもアンバランスであった。
「俺はこういう集会とか面倒くさいものが嫌だってあれほどいったのにあのオッサンは鳥頭か何かなのかぁ…?」
レイ=ミュエルは前方を睨み付けながら面倒くさそうに言った。
その声に気付いた傍らの頭に小動物を乗せた少女、メイフィ=イェルドは「まぁまぁ」となだめる様に言った。
「こうやってギルドの方々が全員集まる機会なんて今まで一度も無かったんですから…たまにはいいじゃないですか。」
「だけど面倒くせぇもんは面倒くせぇんだよ。俺はこうのが嫌だから今までギルド入らなかったってのに。」
メイフィのなだめる言葉をレイは一蹴し不機嫌な顔を貼り付けたままでいる。
気まずい空気をどうにかしようとメイフィは精一杯考え「今日はいい天気ですね」とか「どんな話があるんでしょうか」と話題を振ってみたが、
レイはその険しい顔を変えようともせずに適当に返事をするばかりだった。
余りにも気まずいこの状況に「早く誰か来て下さい…」と心中で祈り始めたメイフィを励ますかのように頭の上乗ったキューイが「きゅ!きゅ!」と声を上げた。
「あーっと…Assembleメンバーの集合場所は此処で良かったんだったかな?」
メイフィの祈りが通じたかのように現れた一人の人物にメイフィはぱっと顔を輝かせ「はい!そうですよ!」と顔を上げて返事をした。
が、突如現れた謎の人物にメイフィの顔からすぐに輝きが消え、この人物は誰か自身の記憶を探り始めた。
「あぁ?誰だよテメー。」
メイフィが必死に記憶の糸を手繰り寄せている間にレイはあまりにも無遠慮にその人物に聞いた。
随分な'挨拶'に彼は怒ることも無く、苦笑しながら両手を顔の横に上げ、大げさなリアクションを取った。
「おぉっと、悪い悪い、そういえば直接会うのは初めてだったな。つい先日ギルドに加入シカフ=ヤットレイだ。以後、お見知りおきを」
帽子を取って恭しく挨拶したシカフにレイが抱いた感想は'胡散臭い'だった。
今にも罵詈雑言を吐きそうなレイの顔を察したメイフィは言わせないと言わんばかりに即座に声を出す。
「貴方がシカフさんなのですね、はじめまして。私はメイフィ=イェルドと申します。この仔はキューイ。それで此方が…」
「…レイ=ミュエルだ」
そっぽを向きながらレイは自分の名前を告げた。
シカフはそんなレイの態度を気にも留めずにこやかな笑みを浮かべた。
「メイフィにレイ…だな。いやぁ、このギルドは可愛らしいお嬢ちゃんが二人もいるんだなー。」
シカフはそういってレイの前に立つ。
そっぽを向いていたレイだったがシカフが目の前に立ったのが解るとシカフを睨み付ける。
「あ?なんだよ・・・?」
不機嫌なのとシカフの胡散臭い笑みにレイは食ってかかる。
シカフは笑みを絶やさずにレイの頬にそっと手を当てた。
「そんな不機嫌な顔してると可愛い顔が台無しだよ?レイちゃ・・・ゴフゥッ!!」
正拳。一発。
レイは思い切りシカフの腹を殴りつける。
「き、気持ち悪ぃんだよテメェ!!」
その場に腹を押さえながら膝を着いたシカフにレイは荒い気遣いで言葉を吐いた。
にも関わらずシカフは引きつったような笑みを浮かべながらレイを見上げる。
「い、いいパンチ持ってるな…嬢ちゃん…そこがまたチャームポイントだよ…」
「うっせぇ黙れ!気持ち悪いんだよ!死ねッ!!あと俺は男だッ!!」
レイは更に無情な蹴りをシカフに叩き込み、何度も何度も蹴りを入れた。
その度に「あふっ、おふっ」とシカフは気持ち悪い声を上げて悶絶する。
…そんな二人を他人ですと言う様に、メイフィはキューイを乗せたままそっと遠い場所に離れていった。


ちょうどその頃ヘネシスの入り口に二人の男性の姿があった。
「そういえば師匠がこうやってギルドのメンバーを集めるなんて初めてですよね!」
「そういえばそうだな…こういう集会をするのも今日が初めてか…」
ホロウ=ケルヴィンとリーンは共に歩きながらそんな会話をしていた。
メンバー全員に連絡を入れてそれぞれが個別にヘネシスに集まると思っていたリーンだったがホロウとは偶々オルビスからの船に乗り合わせた為そのままこうしてヘネシスにやってきたのだった。
「もう皆集まってるみたいですよ、ほら!」
ホロウは集合場所に指を差して言った。
少し早足でホロウとリーンは集合場所へと向った。


「…何があったんだ…?」
集合場所に着いたリーンの第一声は疑問の言葉だった。
レイがあからさまに不機嫌な顔をしているのは予想通りだったがまさかシカフがボロボロで顔に痣ができているのは予想範囲外だった。
「なぁに…ちょっとした愛憎の縺れさ…なあ?レイの'兄ちゃん'…」
「話しかけるな」
「すいません・・・」
言ってる意味はさっぱり解らなかったがこの二人の間に何かがあったらしい。
聞き出そうかと思ったがメイフィが「そ、それで今日はどういった理由で皆さんを呼んだんですか?」と言ったため聞くタイミングを逃してしまった。
「え、えぇと…今日は突然集まってもらってすまないな。今日集まってもらったのはギルドについて少し話し合いたい事があってな…」
「あぁ?くだらねー事なら俺はもう帰るぞ?」
「まぁいいから話は最後まで聞いてくれ…」
レイが不機嫌なのは想像通りだったので少しなだめつつリーンは言葉を続けた。
「簡単に言うと副マスターを選任したいと思っている。」
「副マスター?」
「マスターとほぼ同じ権限をある程度持った人間の事だな。」
メイフィの疑問に短く答えてリーンは言葉を続けた。
「最近はなんだかんだでギルドメンバーの数の増えてきて僕一人じゃギルドの管理が手が回らなくなってるんだ…
 そこで、悪いとは思っているが副マスターを決めて皆にも少し手伝って欲しいと思ってな…」
申し訳無さそうに頭を書きながらリーンは言った。
少し間が空いた後、レイはまた睨み付けながらリーンに言った。
「だったらその選任する人間だけ呼べばよかったじゃねーか。なんで俺まで…」
「あぁ、お前の言うとおりだ…だから僕が副マスターを選任したいと思っているのは…」
睨み付けるレイを見つめ返しリーンは一言。
「ここにいる全員だよ。」
場の空気が凍った。

「オッサン…絶対自分が面倒臭いから『とりあえず全員副マスターにしとけばいいや~』みたいなノリで決めただろ」
「い、いやそんな事はないぞ?ギルドの更新作業はオルビスでしか行えないから各々散らばってる皆がオルビスに来る機会があればついでにやってくれると色々捗ると思ってな…」
「完全に面倒臭がってるだけじゃねぇか!!」
吼えるレイの言葉にリーンは耳を塞いで聞き流す。それでもレイの罵声は耳に痛いほど響いてくる。
苦しそうな顔をしつつリーンは片方の手の平をレイに向けて静止を促しようやくレイは黙ってくれた。
「あぁ…もちろんこれは強制じゃない。やってもいいという人は多い程助かるが…皆はどうだろうか?」
リーンは周囲を見回す。
皆は困惑した表情を浮かべていたが初めにメイフィは少し笑って答えた。
「そうですね…そういった事をリーンさんだけにお任せするのは申し訳ないですし…私でよければ是非やらせて下さい。」
「キュッ!」
キューイまで「僕も頑張る!」と言うように鳴いた。
「俺、頭悪いからあんまり難しい事は解らないけど…俺でいいならやらせてください、師匠!」
続けてホロウもそう答える。
「あー…ちょっといいかい?兄さん」
シカフは相変らず困惑した表情のままだったがその口を開く。
「なんだ?」
「副マスターをやるっていうのは別に俺は構わないんだが…俺はまだ入って日が浅い訳だし俺なんかにそんな大層な事任せてもいいのか?」
「あぁ、勿論それは構わないよ。」
なんだそんな事かとリーンは頷き答えた。
「副マスターといっても大層な事でも何でもないからな、気にしなくていい。それに副マスターならギルド本部の情報を直接受け取る事ができる。
 お前の探し人の情報ももしかしたら聞けるかもしれない」
勿論リーン自身がシカフを信用しているからこその提案なのだが。
「なるほどね。なんか気を使わせてるみたいだな…ありがとな兄さん。俺も是非やらせて欲しい。」
「あぁ、是非頼む」
こうして次々と皆が副マスターになることを承諾してくれる中、レイだけは何も言わずにぶすっとしている。
「レイ。これはさっきも言ったが強制じゃない。でもお前さえいいのならば僕はお前にやってほしいと思っている。」
尚の事、レイは何も言わなかったがレイはやがてぶっきらぼうに答えた。
「さっき言っていた本部から直接受け取れる情報…それは魔物の情報も貰えるのか?」
リーンは何も言わずにコクリと頷いた。
レイはあからさまな大きな溜息をつく。
「そういう情報が貰えるなら仕方ねーからやってやるよ…」
「有難う、レイ。」
リーンは笑って礼を言った。
「言っとくがその情報が欲しいだけだ。副マスターの仕事とやらには何も期待すんなよ。」
レイはそっぱを向いてそう付け加える。
「素直じゃないねぇ…」
「えぇ、本当に。」
「あ、こういうの俺聞いたことある!ツンデレっていう奴でしょ!!」
「キュキュー」
その様子を見た他3人と一匹はニヤつきながら、苦笑しながら、思い出したような顔をしながらそう答えた。
「うっせぇ!!黙れテメェら!!!」
「やれやれ…」
騒がしいギルドになったものだな、と思いつつ。リーンはそう呟いた。
だが、悪くないなとリーンは同時に思った。

副マスターが決まり、その後各々が最近の近況を話し始めた。
だがまあ実際は…そんな堅苦しい物ではなくただの談笑だったのだが…
「まぁ、そういう事で…最近俺の行く街は暗い街ばっかなんだよなあ…もっとこう美しい女性がいるような華がある街に俺は行きたい訳だよ…」
「変態野郎にはお似合いじゃねー?」
シカフの嘆きにレイはニヤニヤと笑いながら答える。
「もう許してくれよ…というか兄ちゃんこそそんな格好して本当は女装癖があったりするんじゃないの?」
苦い顔をしつつもシカフはささやかな反撃を仕掛けた。
レイの顔からニヤニヤとした笑いは消えて今度はどこまでも爽やかな笑みを浮かべた。
「殴るぞ?」
「勘弁してください…」
「まぁまぁ…あ、気付けばもうこんな時間なのですね。」
そんな二人を宥めつつ、メイフィは言った。
空はもう赤みがかっており、間もなく星の煌きが見え始めそうだった。
「そうだな…折角こうして皆集まったんだ。今日は何か皆で美味しい物でも食べに行こうか?」
「いいですね!俺もうお腹ペコペコだよ~」
「こうして皆が集まる機会も中々ないですしね。ヘネシスといえばキノコを使った料理が美味しいと聞きますし。」
「じゃあ言いだしっぺのおっさんの奢りなー」
「え、ちょ、そうとは言ってないぞ!」
「マスターの威厳ってもんを見せてくれよ、兄さん?」
「え、えぇ・・・」
5人と1匹はヘネシスの市場に向って歩き始めた。
…そして、リーンの財布は夜が更ける頃にはもう空っぽになってしまったという…
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| 小話 | 13:56 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

気合が入ってますね!
風が吹いてない1000点

| あご | 2011/09/04 10:01 | URL |

カイザー銀行最高や!

| 名も無き者 | 2011/09/04 19:41 | URL |

いいもんですな

| とむ | 2011/09/04 23:24 | URL | ≫ EDIT

読んだけど3行でまとめて

| 名も無き者 | 2011/09/05 13:35 | URL |

あご>
次回からまた風が吹き荒れるよ

名も無き者A>
帝王銀行・・・?

とむさん>
すばらしいものです。えぇ実に素晴らしいものなのですよこれはァ・・・

名も無き者B>
ギルド集会
全員副マスター
財布空

| LeanKurusimo | 2011/09/05 18:47 | URL |















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