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出会い

空を見上げると形が滑稽な雲が浮かんでいた。
あの滑稽な雲の形は何に近いだろうかとぼんやりとリーン=クルシモは考えていた。

ここの所狩りが続き彼は少しばかり疲れを感じていた。
自分が疲れているという事を自覚したのが狩りを始めようとした直後だったので彼の生活がいかに狩りに染まっているのかが窺い知れる。
別段狩りに対して使命感があるわけでも無い。自分の生活の為、というのが大半な理由であり現状でもあと何週間かは困らずに過ごせる状況でどうして自分がこれほどまで頑張ろうとしているのか自分で疑問に思ってしまった。
だから、という訳でも無いが今日は体を休む事も兼ねてのんびり過ごそうと彼は決めたのだった。

ヘネシスの街に来るのも思えば久しぶりだった。穏やかな町並みで人通りも多く賑わいがある。
顔を前に向けてみると冒険者になりたてに見える少女が目の前を通っていった。
心中でエールを送りつつ彼はまた空を見上げ先ほどの雲を見たが、形は既に変わっておりもはや何とも似つかない雲の形になってしまっていた。
「あの・・・少しよろしいでしょうか?」
突如掛けられた声に思わずビクリとして彼は見上げていた顔を戻す。
するとそこにはさっき目の前を通っていった少女の姿があった。
手に少し大きい本を持っており、口元まで隠してしまっている。
「え、あ、僕に…何か用か?」
突然声を掛けられたのと久しぶりの人との会話だったので言葉が詰まった。
目の前の少女は少し安心したような顔をした。
「少し道に迷ってしまって・・・道を教えていただけないでしょうか?」
申し訳なさそうな、恥ずかしそうな仕草にリーンは少し微笑む。
「あぁ、構わないよ。僕が解る範囲でなら。」
そう答えて、自分もここに来たばかりだった頃は道がさっぱり解らず彷徨い歩いていた事があったなと、過去の事を少し思い出した。
もっとも、彼は人に聞くということはしなかった。もといできなかったのだが。
「エリニアという村の大図書館に行きたかったんですが…いつの間にか全く違うところにきてしまったみたいで…」
「大図書館というと…ハインズがいる所か…それならここからさほど遠くも無いな…よければ案内するが?」
そう言うと少女は笑顔になり、「ぜひお願いします!」と元気に答えた。
リーンは立ち上がりズボンについた砂を軽く払って彼女と共に歩き始めた。

ヘネシスとエリニアは少し離れた位置にあるがそれほど遠い距離でも無い。
途中の分かれ道で彼女は反対側の方向に来てしまったのがヘネシスに来てしまった原因のようだ。
賑やかな町並みから聞こえてきた人の声は気がつけば森の中に住む小鳥のさえずりに変わっていた。
歩きながらお互いに簡単な自己紹介をして森の中を進んでいった。

「じゃあ、普段はもっと違う大陸の方にいらっしゃるんですの?」
彼女、Meyfy=Yeld(メイフィ=イェルド)はリーンに聞いた。
「毎日のようにいると言う訳じゃ無いが…僕はハンターとして生活してるから自分の腕に合った場所に行ったり来たりしてる感じだな。」
「へぇ・・・その違う大陸のお話ぜひもっと聞かせてください!」
メイフィは本を読んでその中にあった冒険譚を読む内に自分もこの広い世界を冒険したいと思うようになったらしい。
そのためか、リーンの話。とりわけビクトリアアイランドを越えた大陸の話を聞かせて欲しいとせがんだ。
リーンも自分の見てきた事を人に聞かれるのはあまり悪い気はしなかったため多少ながら話を誇大にして見てきた街の事を話した。
半獣人が納めている村、おもちゃのような街、錬金術と科学の派閥が対立している街、空の上に浮かんでいる街。
話せば話すほどメイフィの目は輝いていくものだからリーンも次々と話を聞かせてやった。

「後はそうだな・・・っと、ここが君の目的地のエリニア大図書館だ。」
「あら・・・もう着いてしまったんですね・・・ご親切有難うございました。」
メイフィは少し残念そうな顔して礼をすると少し名残惜しそうに、図書館の中に入って行った。
とりあえず、これにて目的は達成した。このままこの場を立ち去ってもよかったのではあるのだが…
今、思えばこの図書館の存在は知ってはいたが中には入ったことが一度も無い。別に別段調べたいことがある訳でも無かったが折角だから、と彼女の後に続いていった。

図書館の中の景色に思わずリーンは圧倒された。
どこを見ても本、本、本。これほどの量の本を見たのは久しぶりな気がする。
近くにあった本棚に目を向ける。背表紙を見ると古代文字で書かれた本が目立ちタイトルすら読めそうに無かった。
その中からメイフィは1冊本を取るとカバー開きそれを読み始めた。
「僕にはとても読めそうに無いな・・・君は何が書いてあるのか解るのか?」
そう声を掛けてみたが返事が全く返ってこなかった。本を読むことにメイフィは完全に意識を集中してしまっているようだった。
本の虫というのはこういう人の事を言うのかもしれないとリーンは内心で思った。褒め言葉として最適かどうかは解らなかったが。
自分でも読めそうな本は無いかとリーンは図書館を少し歩いてみたが結局3つほど本棚を回った所で諦め、鞄からギルド日誌を取り出し今日の出来事を早速書き始めた。

カチリ、カチリと時計の音とリーンのペンの走らせる音。その小さな音が図書館中に響く。その静寂を先に破ったのはメイフィの言葉だった。
「それは何ですの?」
気がつくとメイフィは本を読むのを止めて目をリーンの方へと向けていた。
リーンもまた日誌を書く手を止めて答えた。
「ん…あぁ、これはギルド日誌だよ。ギルド員が一人一人今日一日あった事を簡単にまとめているんだ。」
「ギルド・・・?」
「同じ目的を持った人間の集まり・・・みたいな物と言えばいいか?まぁ、集まりといっても僕のギルドのメンバーは僕しかいないだが…」
リーンは少し苦い顔をして答えた。その様子を見てメイフィは少し考えた後更に聞く。
「じゃあそのギルドはリーンさんのギルドなんですか?」
「まぁ、そういうことになる…か…だが、このギルドに存在意義があるかは解らないがな…」
自分のギルドと言われて少し気恥ずかしい物を感じつつ、苦笑しながらリーンは答えた。
実際一人しかいないギルドなどあっても無くても変わらない。
「魔物を狩る」というのが一応このギルドの第一目的ではあるがそんなギルド他にも山ほどあるし大きなギルドだって存在する。
だからこんな小さなギルドに入りたがるような人間はまずいない。いるとしたら相当な変わり者だろうとリーンは思った。
少しばつの悪い気分になったリーンはそれを隠すために再び日誌に文字を書き始めた。
だが、メイフィが発した次の言葉にリーンは驚くことになる。

「私を、そのギルドに入れてもらうことはできないでしょうか?」

どうやら変わり者というのは存在しているらしい。
手元のギルド日誌は驚いたあまりか書きかけだった文字は形を完成させる事無く、細い線となってノートの端まで届いているのが目に入った。


12.jpg

※キャラ紹介に「MayfyYeld」を追加しました。
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