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暑い夏の日に

近頃は暑い日が続いている。
だが、今日はいつも以上に暑い…それは僕がこの日差しが強いリプレにいるから…だけでは無いのであろう。

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つい先日から何処からとも無く現れて至る町でラップをご披露してくれるこの謎の犬。
なんと歌っていたか…確か、「You&I」がどうのこうのと言っていたような気がするが…
詳しくは解らないが、メイプルワールドの大陸の全てを巻き込んでゲーム大会を開いているらしい。
唐突に現れたその日は皆、困惑した様子であったが今となっては皆こぞって彼らが主催するゲーム大会に勤しんでいるらしい。
聞いた話だと、僕のギルドのメンバーも何人かこのゲーム大会を楽しんでいるようだった。

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だが…僕、リーン=クルシモにはあまり関係は無い。
今となっては慣れこそしたが町という町で騒ぎ立てるこの犬には若干迷惑さすら感じている節もあった。
元より騒がしい所が苦手な性分、ましてや人と関わる事など僕はもっと苦手だった。
だというのに、唯一魔物の心配も無くくつろぐ事のできる町や村でこんなに騒ぎ立てられて…いや、これ以上言うのは野暮と言う物か。
この世界の過半数の人間はこの祭りを楽しんでいるのだ。それに適応できないのは自分の非であろう…
こんな性格だから自分のギルドのメンバーもなかなか増えないのだ。直さなければならない性格なんだろうとは解ってはいるが数十年こんな性格を続けてしまっている現状、今すぐ直せというのは難しい。
騒がしい町の喧騒と自分自身の欠点に溜息をつきながら僕はいつも通り魔物狩りへと向かった…

「さて…今日の獲物は…」
物陰に隠れて僕はぽつりとそんな独り言を呟く。
現在地は時間の神殿の奥地…忘却のエリアだ。ここに訪れる人はそうそういない、これはここ数日の間通っているから解っている事だ。
故に、独り言だって言い放題だ。
「今日はいつもより少しばかり奥へ行ってみるか…」
思い付きでそんな事を呟いた。昨日まで狩っていた「忘却の神官」も強敵だったが今の自分ならもう少し奥地へ行っても恐らくは問題無い。
手持ちの薬の数も十分、危険なようならすぐに帰還の書で戻ればいい。
だとするならば、目的地に着くまでは無用な戦いは避けたい。
僕は物陰から物陰へと魔物に見つからないようコソコソと奥地へ向かっていった。

「この辺りでいいか…」
いつも狩場にしている場所から数区間程度離れた場所で僕ははたりと足を止めた。
少し離れた先に純白の甲冑で身を包んだ…というよりも甲冑そのものが動いているようだが…兵士がいる。
漆黒の甲冑の魔物もチラホラ見える、この場所は2種類の魔物が混合して彷徨っている場所のようだ。
「…よし。」
軽く深呼吸をして腰に掛けた二刀を手にとって僕は大きく身を翻した。

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奇襲の一閃はうまくいった。
数匹の魔物が同時にどこから出しているのか解らないが断末魔の声を上げて絶命する。
だが、この奇襲がうまくいくのはこの1回のみだ。
侵入者に気付いた魔物達が集団で僕に襲ってくる。
寸での所で敵の攻撃を避けれてはいるがこの数だ、全て避ける事は難しい。
寧ろ避ける事に気をとられすぎていたら敵の数は増える一方かもしれない。
ならば、と僕は避ける事はあまり考えず攻撃される前に敵を屠る手に出ることにした。

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そんな狩り方を数分ほど続けていたが思ったよりは順調に狩りはできている。
流石に相手も強敵のようで自分の攻撃を避けられる事も多々あったがそれでも魔物を絶命させるには十分すぎるほどの的中率はあった。
「よし、このまま…ん…?」
と、ここで僕は魔物が落としたアイテムの中に見慣れないものがあった事に気付いた。

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「U&I」とデカデカと書いてある箱を拾い上げて僕は呆れた様な、苦笑いような顔をした。
「魔物まで祭り気分か…全く…」
中に何が入っているか解らないがそれを検めるのは後回しだ。
「キューイ、頼んだぞ」
「キュ!」
僕は肩に乗っかっている小さな相棒にそう声を掛ける。
アイテム拾いは彼に任せて僕は狩りに集中しよう。そう決めて僕はまた魔物の大群へと駆けた。

オォォォォ…というこれで何回目になるか解らない断末魔の声を聞いた所で僕は一度動きを止めた。
バックを確認してみたら持ってきた薬の数がもう僅かになっている。それに気付いた所で僕自身それなりに疲労感を感じている事にもようやく気付いた。
「今日はこの辺りにしておくか…」
ゴソゴソとバックを漁り帰還の書を手にしそれを掲げ…ようとした所で僕は周囲の異変に気付いた。
自分が倒してきた敵の残骸から黒い煙の様な物が集まっている…?
「な、なんだ…?」
その煙は段々と大きくなり…自分の身の丈の何倍もなった所で遂に形を成した。

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「で、デカっ!?」
思わずそう叫び声を上げた瞬間には生成された巨大な魔物の目が光る。コイツに口があったらきっと大きく歪んでいたのは間違いない。
避けるのが遅れ、僕はその魔物の攻撃をまともに体で受け止めてしまった。
「クッ…」
苦悶の声が口から漏れたが致命傷では無い。飛ばされた勢いをそのまま利用して僕は空を蹴り敵と距離を開ける。
「今まではあんなの居なかったぞ!?なんで急に…」
だが、考えている余裕は無さそうだ。魔物はジワジワとこっちに向かっている。
僕は薬を1本空けて一気に飲み込み、目の前に迫る魔物を睨み付ける。
「…ここに居る魔物がデカくなっただけだ。行ける筈…!」
頭を埋め尽くしている困惑を振り払うように声を上げて、僕は全身全霊を尽くし魔物へと向かった。

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「何とか…倒せたか…」
時間こそ掛かったがここの魔物をデカくしただけ…というのは間違ってはいなかったようだ。
僕は手早く魔物が落とした装備を回収して少し安全な場所へと離れた。
「ん…この装備…」
魔物が落とす装備はどうせ似たような物だろうと思っていたがどうやらこれは中々の物ようだ。
生憎、装備は新調したばかりで変えるつもりは無いが…
「ふむ…良い装備をもし手に入れる事ができたらギルドメンバーにでも渡すか…」
そうしよう、誰にでも無く僕は頷き使い損ねていた帰還の書を今度こそ使って町へと帰還した。

「あむ…まさかあの箱から…芋が出てくるとはな…」
「キュ!キュ!」
片手に持った焼き芋を齧り租借しながらそんな事を呟く。
町に戻って少ししてから…つまり今から数分ほど前に僕は先ほどの「U&Iボックス」なる箱の事思い出したのだ。
知らない内にキューイが大量に拾ってくれていたようで全部開けるのもなかなか一苦労だったが…
正直、中から焼き芋が出てくるとは思わなかった。それもまるで出来たてのようにホカホカの。
食べて大丈夫かどうか初めは疑ったが、余りにも美味しそうだったので僕は意を決して少しばかり齧るとこれがまた美味であった。
美味そうに芋を頬張る僕を見てキューイも「僕にも頂戴。」と言う様に鳴き出したので、半分に割って上げた所小さな手足を使って器用に食べている。中々微笑ましい光景だった。
「ともあれ…食費もこれで当分浮くな…」
満足気に僕は言った所で、僕は後ろに人の気配を感じた。
「ヘヘッ、お兄さん…結構な数のコイン持ってるみたいじゃねぇか。」
「…」

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熊が居た。しかも麦わら帽子にサングラスをかけたファンキーな熊が。
唖然としていたがよく見るとこの熊、何処かで見覚えがある…少し記憶の糸を辿ってみると答えは意外に早く出た。
「ん…?お前は確か…」
あの大して上手くないラップを披露していた犬の横にいた熊では無いか。
「お兄さん、そのコイン。俺に渡してみねぇか?」
「コインって…これの事か?」
僕はジャラりと地面に並べていたコインを数枚拾い上げてみせた。
先ほどの「U&Iボックス」に入っていた物だったがメルとも違うこのコインの使い道が解らずとりあえず地面に並べていたのだった。
「YES!もちろんタダで渡せとは言わねぇぜ?コインの数に応じて…この中から好きなもんをお兄さんにやるぜ?」
「ほう…」
手際よく広げられた商品を吟味してみると中々の業物の武器や防具、更には呪文書まで色々な物があるようだった。
「さっき出かける前からお兄さんをずっと見てたけどよ…お兄さんこの祭りを楽しんでねぇよな?」
ほっといてくれ。
そう声出す間も無くこの熊は話を続ける。
「別にお兄さんを悪く言ってる訳じゃねぇぜ?性格ってのは人それぞれ。この祭りも楽しめない奴も勿論いるのは間違いねぇ。」
ワッハッハと豪快に熊は笑って見せた。
大きな口が開かれて一瞬食べられるのでは、と身を少し引いてしまった。
「だが、全く参加しないっていうのはちっとばかし勿体ねぇじゃねぇか。この物々交換も祭りの一環。ここでちっとはこの祭りに参加しようじゃねぇか。」
「ふむ…」
確かにそうかもしれない…
喧騒が苦手だからと言ってそれに全く参加しないというのもどうなのであろうか。
「そうだな…お前の言う通りだ。じゃあ折角だし何かと交換してもらおうか。」
「そうこなくっちゃな!お兄さん見た所短剣使いのようだし…これなんてどうだ?」
そう言って熊は刀身の黒い小さな短剣を差し出した。
これはこれで魅力的ではあったが…
「いや、僕はこれを貰うよ。」
そう言って僕は足元にあった道具を一つ拾い上げた。

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「ここの所暑いからな…こういう道具は助かる。」
パタパタと扇子で顔を仰ぐ、やや生温い風だが、顔にべっとりついた汗を冷してくれて心地良い。
「お兄さん…それ間違ってないけど…間違ってるよ…」
そう言って熊は何とも言えない顔を披露してくれた。
「そうかい?意外に悪くないが…」
扇子を仰ぎながら先ほどこの熊に言われたことを頭の中でリフレインさせる。
全く参加しないのも勿体無い。それも確かにそうだ。
明日は…例のゲーム大会に参加してみるのも悪くないかもしれない。
あぁ、どうせやるならギルドメンバー全員巻き込んでやろう。
その賑やかな様子を想像したら…僕は口元に沸く笑みを抑える事ができなかった。
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| 小話 | 02:12 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

はよカンナ紹介よろ

| 名も無き者 | 2014/08/19 16:16 | URL |

>名も無きA
http://kurusimo.blog39.fc2.com/category2-1.html#no119
一応もう登場はしてるよ!?

| LeanKurusimo | 2014/08/19 18:36 | URL |

メルセデスの紹介もよろ

| 名も無き者 | 2014/08/21 21:35 | URL |

名もなきB>
い、いつになるかなー?

| LeanKurusimo | 2014/08/22 05:57 | URL |















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