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魔狩の死神。

キーリ=ユダルク(Kieli=Judark)にとって魔物狩りとは義務である。だが、彼女はそんな義務感など一つも持っていないはいなかった。
魔物狩りを生業として日々生活している人間は世の中には多々存在する。そんな彼らが揃えて口にするのは「魔物がいない平和な日々を過ごしたい」という言葉だが、彼女はそんな事これっぽっちも思ってはいなかった。
寧ろ、「こんな楽しい事で金が貰えるなんて素晴らしい事だ」と常々彼女は思っている程だ。つまり、彼女にとって魔物狩りは趣味であり娯楽であった。
手にした武器で縦横無尽に駆け巡り、魔物を刈る。彼女はそれが楽しくて楽しくてたまらない。
「刈り」と書いたがこの表現は間違った表現では無い。彼女の手にする武器…禍々しくもあり神々しいその大鎌は魔物の魂ごと刈り取ってしまうのは間違いでは無いのだから。

日々の'趣味'に一段落つけた彼女はエルナスの街を彷徨っていた。全身を黒を基調とした衣服で包み、背中に大鎌を背負って歩くその様はまさしく'死神'と言っても過言では無い。
心まで凍てつきそうな寒さの中で彼女の姿は不吉極まりない。道行く彼女を見かけた人間はすぐさま視線を逸らしそそくさとその場を後にする。傍目から見てもあからさますぎる程の行動だがそんな事を気に留める様子も無い。
そこで、はたと歩む足を止め、彼女は首を横に曲げた。そして心の底から面倒臭そうな顔をし彼女は気乗りしない様子でその方向へ足を向けて再び歩き始めた。

人通りの少ない場所を歩き続けるとあまり見慣れない物が目に入った。
力無い光を放つ'それ'を彼女がまじまじと見つめる…そして、溜息を一つ。
「あー…これもうダメだねぇ…」
手入れ等全くされていない乱れた髪を掻きその風貌は更に凶悪な物へと変わっていく。
頭の中が「面倒くさい」の一文で瞬時に埋め尽くされる…彼女としてはこれをこのまま無視してさっさと'趣味'に戻りたいのだろう。
だがこの「面倒くさい」事こそが彼女の本当の'義務'である。観念した様子で彼女はとある人物に連絡を取った。

「すみませ~ん、お待たせしました先輩!」
連絡を取って数刻、ようやくしてその人物…鈴音藍は到着した。
かなりの時間待たされて苛立ちがピークに達していたキーリは不機嫌な顔で藍を睨む様に見た。
「おっそいんだよ…一体どんだけ待たせるつもり?」
「ご、ごめんなさい…ちょっと別事をやってたので…」
申し訳無さそうな顔をする藍に更に辛辣な言葉を重ねようと口を開きかけたが、少しでも早く終わらせて欲しいという気持ちが勝り彼女は口を閉じた。
不機嫌顔を顔に貼り付けたまま、そのまま無言で指を前方に指した。
「ん?あー…この'陣'もう限界ですね…すぐに修繕しますね!」
指の先にある'守護陣'は今にも消えそうな儚い光を放ち続けている。
効力はいつ消えてもおかしくないのだろう、そう言うが否や彼女はすぐに修繕を開始した。

「様になったもんだねぇ…アンタも…」
修復を終えた'陣'は再びあるべき姿を取り戻し、力強い光を街を照らすかのように放っている。
後輩の手際の良さに先輩はぶっきらぼうな感嘆な声を漏らした。
「まぁ、もう何度もやってますし…っていうか先輩、自分でできることをわざわざ私を呼びつけてやらすのやめてくれませんか?その鎌はあぁいう使い方する為に作られた訳じゃないんですから…」
「出来のいい後輩を持って幸せだよアタシは。」
ハッハッハと笑うキーリに藍は呆れた顔で溜息をついた。
キーリの持つ大鎌、これは形状的にもとても戦闘に適した武器であるかと問われるととてもそうとは言えない。
勿論、鎌を使った戦闘術は存在はする。しかしながら元々鎌は戦闘を考慮して作られた道具ではない。
鎌術は武器として鎌を選ばざるを得ない境遇の人の為に考案されたものであり、魔物狩りを行うのであれば剣や槍でも持ったほうが扱いやすく、よっぽど効率的だ。
故に、彼女の鎌は本来戦闘が目的で作られた物では無い。藍が手にしている刀身の赤い日本刀…それと同じ様に'陣'の修復の為に作られた神器なのである。(尤も、藍も魔物狩りにそれを利用しているのだが)
閑話休題…
「それはそうとアンタ最近どこかのギルドにアタシ達の手助けを頼んだらしいじゃないか。」
耳が痛くなるような小言を聞かされる前にと、キーリは話を変えた。
「え?はい、そうですけど…」
「しかもタダ働きらしいじゃないか。相変らずアンタは打算的というか…汚いというか…」
「き、汚くなんてありません!!」
'汚い'という言葉に首を全力で横に振って藍は否定する。
彼女としてはこの言葉は何があっても否定したい言葉のようだ。
「そ、それに完全なタダ働きじゃないですし!私もギルドの一員になってギルドに貢献を…」
「え?アンタそこのギルドに入ってるの?」
藍はしまったという顔をした。
リーン達には「多分大丈夫」と言って加入したはよかったが実際これが認められた物かどうか正直言って微妙な事であった。
そのため、本部には「無報酬で協力を承諾してくれたギルドがある」という報告はしたが「自分もそのギルドに加入する」という旨はあえて伏せていたのだ。
「べ、別に大丈夫ですよね…?アマテラスは別にギルドって訳じゃないですし副業的な感じでギルド加入する事ぐらい…」
「さぁ?どうだろうねぇ…?連中は妙な所で小五月蝿いからねぇ…」
そういう彼女はニヤニヤとした笑みを隠せずにいた。
その悪質な笑みは正に'死神'のそれと同等だ。藍は半ば涙目になって小さく唸る。
「そ、そうだ!先輩もよかったらギルドに入りませんか!?」
「あ?なんでアタシまでそんな事を…」
「ほら先輩いつも魔物狩りばっかしてるじゃないですか!…ぶっちゃけギルドへの依頼で受け取れる報酬ってかなりいいんですよ。ほら、アマテラスって給金少ないじゃないですか…」
「ほー…」
確かにアマテラスから貰える給金は生活には困らないがとても多い物とは言えない。
それ故に、アマテラスの一員のほとんどは金に困っている。それはキーリとて例外では無い。
「確かに、それはウマい話だねぇ…で?本心は?」
「う…だってー!私だけ怒られるのってすごい嫌じゃないですかー!!お願いですから一緒に怒られてくださいよ先輩ィ!!」
「うわぁ…やっぱり汚ねぇ…もはや汚物だよ汚物。」
「汚物って言わないでくださいィ!!!私は汚くないですぅ……うぅ…」
地面に手をついて彼女は大粒の涙を零した。マジ泣きだ。どうしようも無いぐらいマジで泣いている。
少し言い過ぎたかと、反省したキーリは肩に手を置いて「よしよし」とあやす様に撫でた。
「解った解った…アタシも入ってやるから…頼むから泣くな…な?」
「え?本当ですか!?やったー!!」
「…」
表情の変化は一瞬であった。流していた涙は嘘であったかのように止まり満面な笑顔をこちらに向けている。
「やっぱりコイツ汚ねぇ…」と心の底から思ったキーリだったがその言葉を飲み込んだ。
「で…アンタ勝手に決めてるけど私がギルドに入る事決める権利アンタにあんの?」
「あー…まぁ、大丈夫ですって!ギルマス君はお人好しだから反対なんて絶対しませんよー」
その言葉に例によってキーリは思う事があったが…その言葉を口にすることはやはり無かった。

※キャラ紹介に「Kieli=Judark」を追加しました。

kieli.png
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| 小話 | 23:30 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

鈴音藍とかいう新登場キャラクター

| 名も無き者 | 2011/12/26 00:21 | URL |

すずねちゃんまじきたねえ・・・

| 名も無き者 | 2011/12/26 15:43 | URL |

名も無き者A>
新キャラそっちじゃねぇよ!!藍ちゃんの影が薄いって遠まわしに言ってんじゃねぇよ!!!

名も無き者B>
すずねちゃんは汚い汚物だよ全く…

| LeanKurusimo | 2012/01/05 03:41 | URL |















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