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回想2

目が覚めた、目はちゃんと開いているはずなのに薄暗くて周りがよく見えない。
今が朝なのか、夜なのか。この空間だけではそれを察する事は出来ないが外から僅かに聞こえてくる鳥のさえずりで俺は今が朝なんだと理解した。
…それにしてもここは何処なのだろうか?狭すぎる空間、窓一つそれどころか出入り口さえ薄暗くてよく解らない。よくよく見渡してみると何もかもが異質な空間だった。
「ふぅぁ…、あぁ、もう朝か…」
ボーっと部屋を見渡しているその間にここの家主は目を覚ましたようだ。
大きな欠伸をして、目尻の涙を手で拭い、大きく背伸びをした。
「お、おはよう…」
「んん…おぉ、おはよう!よく眠れたか?」
「うん、まぁ…」
正直言って寝心地は良くは無かった。藁を敷き詰めただけの寝床は首筋に藁がチクチクと刺さり、少し痒い。
だがそれでもベンチで寝るのに比べれば数倍マシな訳で…
「そういえば…ここは何処なの?」
俺は先ほどから気になっていた疑問をクロウに投げかけた。
「ん?ここは公園だぞ?」
「え?」
ここが公園と言われても全くピンとこない。
からかっているのだろうと思ったが反論をする前に、クロウは俺の後ろを指差した。
「そこ、後ろ見てみな。」
どういう事かよく解らなかったが言われるがままに俺は後ろの壁を見た。
薄暗くて見落としていたが、よく見ると石の壁に一つ円形の木版がはめ込まれている。
その木板を軽く押してみる…するとぽこっ、と音を立ててそれは外に飛んでいってしまった。
そしてその直後に、眩い太陽が顔を見せる。ずっと暗い所にいた為俺は思わず目を細めながら、その穴から身を捩らせて外に出た。

どうやら、クロウは俺をからかっていた訳では無いらしい、穴から外に出てみるとそこは紛れも無くあの公園だった。
公園にあったドーム状の良く解らない遊具…どうやらあの空間はこの中だったようだ。そしてあの穴は唯一の出入り口らしい。
「本当はダメなんだけどな。夜は寒いしこれでこうやって蓋してんだよ。」
続けて出てきたクロウは地面に落ちた木板を拾いそれをまた穴の中にはめ込んだ。
どう考えても遊具を私物化している…だが、それ以前に俺はまた一つ気になる事ができた。
「えと…どうしてこんな所に住んでるの…?」
当然の疑問だ。いくらここが憩いの場といえどこんな所で住むような子供がいるものか。
そう聞くとクロウは少し表情に影を落とした。
「あぁ…なんつーか…俺、親いないんだよ。だから家も無いからここで住んでんだよ。」
「え…?」
そう言ってクロウは笑って見せたがその笑顔は少し引きつっている。無理に笑顔を作ろうとしているのが一目見て解った。
どういう返しをするべきか、俺は解らなくて口ごもる。
「ま、そんな事はどうでもいいんだよ。つーか、腹減っただろ?」
そう言われて俺は今、初めて空腹感に襲われている事に気付いた。
俺が頷くとクロウは笑顔を見せた…さっきのような引きつった笑みでは無い。
「んじゃ、朝メシでも貰いに行くか。着いて来な!」
そういって少し早足で歩き始めたクロウの後を俺は慌てて追った。

公園の外には出た事は無かったが、予想通りと言うか…田舎の光景が広がっていた。
手入れはされてあるが石畳といった舗装はされていない草道を少し歩いた所で香ばしい香りが鼻腔を擽る。
「ここだここ。」
クロウが指を差した先には小さなパン屋があった。
小さな看板に店名が書かれているだけの貧相…いや、質素な店だ。
どうやら、村に広がる香ばしい香りはここから漂っているようだ。
「朝メシはここでよく貰ってんだ。昨日のパンもここで貰ったんだよ。」
「そうなんだ…」
なるほど、なら出来立てはさぞかし美味しいんだろう。
俺の腹の虫が更に騒ぎ立ってるのが解る。だが…
「お金…あるの…?」
「ん?あぁ金なら心配すんなよ。」
クロウは笑顔で答えながら俺の頭にそっと手を置いた。
「金は持ってねぇけどさ…つーか、言っただろ?貰ってるって。」
その言葉に俺は嫌な予感がした。
それは'貰う'ではなくもしかして'盗む'の間違いじゃないのか。
いくらガキでも物を盗んではいけないという常識ぐらいは弁えている。勿論止めようと思ったのだが…
「ま、いいから着いて来いって。」
止める間も無く堂々とドアから入るクロウの後を追うか否か、少し考えたが結局俺も渋々その後に着いて行く事しかできなかった。

「おはよう、おばさん!悪いんだけど今日もパンを貰ってもいいかな?」
店の中に入ってそうそう俺の考えていた展開は裏切られた。
…どうやらクロウは本当にパンを'貰い'に来たようである。
「あら、おはようクロウ。昨日の売れ残りのパンならそこに置いてあるから持って行きなさい。」
店内の椅子にどっしりと座り新聞紙を読んでいる店主はクロウに顔を向ける事無く指を手前にある机に向って差した。
顔は隠れて見えないがその声質から中年の女性である事が解った。
「いつもありがとう。おばさん。」
嬉しそうに頭を軽く下げてクロウは机の上にある紙袋を手に取った。
だが、その場でそっとそれを開けた時クロウの表情は少しばかり曇る。
「あぁ、そうそう。この間シーロックさん…ドロシーちゃんの所の家のお父さんがね、少し家が雨漏りしてるから今度クロウに屋根の修理を手伝って欲しいって…」
不意に読んでいた新聞紙から目を離しおばさんは俺達に目を向けた。
いつもは1人で来ている少年にもう1人見知らぬ少年がいたのに気付いたのだろう、おばさんの言葉は途中で途切れた。
「あら?…え、もしかしてその子…」
「あぁ、うん…こいつも俺と同じみたいなんだ…」
それを聞いて俺の状況を理解したのだろう。おばさんは哀れんだ表情を俺に向けた。
尤も、俺は怒られるのでは無いかと根拠もない恐怖に襲われ咄嗟にクロウの背中に隠れてしまったが…
「…パン、それだけじゃ足りないわよね?もうすぐ焼きたてのパンができるからしばらく待ってなさい。あまり多くは分けれないけど…」
「本当!?ありがとう!おばさん!」
「いいのよ…私こそこれぐらいしかしてやれなくて…本当にごめんなさいね…」
おばさんは本当に申し訳無さそうに言って店の奥へと引っ込んでいった。

「冷めてても美味いけどやっぱり焼きたてが一番うめーよなぁ」
「うん、美味しい…」
焼きたてのパンを頬張りながら俺達は公園への道を辿っていた。
お世辞抜きで本当にこのパンは美味しく、一口食べる度に訪れる幸福感を俺は出来る限りゆっくりと味わった。
「公園に戻ったら今度は昼と夜のメシの調達しとかねぇとな…」
「え?またパンを分けてもらったらダメなの…?」
ぽつりと呟いたクロウに俺はそんな厚かましい言葉を口にした。
「ダメだって!つーか、毎日ああやってパンを貰える訳じゃないからな?できる限りは自分達で調達しないと。」
当然のように言うクロウだが俺は自分達で調達といってもいまいちピンと来なかった。
家にいたらメシは親が作ってくれたしまぁある意味当然と言えば当然なんだが…
「つーか、勿論シカフにも手伝って貰うからな?」
「え?手伝うって何を…?」
「まぁ、ひとまずは公園に着いたらだな。」
そう、ニヤけたような顔をしながら話すクロウに俺はあまり良い予感はしなかった…

―――その1時間ぐらい後、俺は木の上にいた。
「よし!それだそれ!切っていいぞー!」
「そ、そう言われても…」
下から聞こえてくるクロウの声に俺は弱音を吐く。
なんで自分がこんな事をしなければならないのか…

―ここの森は木の実が結構取れるんだよ。ほら、アレとか。
クロウが指を差した先を見ると枝の先に小さな実をつけている木があった。
―道具はこれしか無いから自分で木に登っていかないとダメだけどな。お前、木登り得意か?
俺は首を横に振る。元々外で遊ぶ事も少なかった俺は木登りはおろか運動もあまり得意では無い。
―そうか…んじゃ、俺が見本を見せるからその通りにやってみろよ。
そういってクロウは木をするすると器用に登りあっという間に枝先の木の実を数個ナイフで切り落した。
切り落として、また別の木の枝に移りまた切り落とす。
その様子はまるで猿のようだ、と俺は思った。

まぁ、猿が木を登ってる様子をいくら見た所で自分がそれと同じように登れるかと言われると当然無理な訳で…
半ば強引に俺は木に登らせれ何分も時間をかけてようやく一番地面に近い枝にしがみつきながら辿り着く事ができた。
「そんなにビビんなくても大丈夫だって!」
「うぅ…き、切るよ…?」
勇気を出してようやく俺はしがみついていた枝から手を離し枝に跨る形で少し身を乗り出す。
ナイフを恐る恐る持ち、その先の木の実を切り落とす。
「よ、よし…!」
なんとか1個切り落とし、俺は大きく息を吐いて安堵した。
が、気を抜きすぎたのか…
「う、うわあああああああああ!」
バランスを崩した俺の体は地面に向って落ちた。
地面から然程離れているわけではなく、すぐに俺の体に軽く衝撃が走った…痛みは無い。
だが、いくら近いといってここまで痛みが無いものだろうか…?
「痛ってぇ…」
クロウの声がまたしても下から聞こえてきた。下を見ると、クロウの背中が俺の尻の下にあった。
「うわぁ!?ご、ごめん大丈夫…?」
「あー平気平気。お前こそ怪我無いか?つーか、早くどいてくれ…」
苦しそうな声を聞き俺はすぐに立ち上がった。
続けて立ち上がったクロウは全身についた砂を払いながら溜息混じりに声を出した。
「お前…見るからに貧弱そうだったけどマジで運動音痴なんだな…」
「う…ご、ごめん…」
その言い草に俺は少しムっとした事実は事実。何も言い返す言葉も無く俺は俯いた。
もっと怒られる、そう思ったが…クロウは何も言わず垂れた頭にそっと手が乗せ、撫でた。
「まぁ、気にすんなよ。俺も無理矢理やらせちまったからな。今日は俺が取っておくからお前は座ってな。」
笑いながら、クロウはそう言ってくれた。
「うん…有難う…」
「でも、お前も此処で暮らす…勿論、かーちゃんととーちゃんが迎えに来るまでの間だけどな。その間はお前にも手伝ってもらうつもりだからな。練習とかしとけよ?」
「うん…」
クロウはまた近くの枝にするすると登り始め手際よく木の実を切り落としていく、俺はその様子をただ見つめた。
そして、溜息が一つ…慣れない場所で慣れない生活をして慣れない事をさせられたりで不満と不安ばかりが募る…
だが、そう思う反面俺は少し嬉しいと思っていた。
―まるで、兄さんができたみたいだなぁ…
父さんと母さんには早く迎えに来て欲しいという気持ちは当然あった。だが、少しでもクロウの役に立ちたい、そんな気持ちも芽生えていた。
―練習しなきゃな…
あの木の枝の様に細い自分の手首を見て、俺はそう思った。


2で終わる予定だったんだけどねぇ・・・?なんかまだ長くなっちゃうねぇ・・・?
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| 小話 | 00:15 | comments:7 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

いつの間にかシカッフさんに乗っ取られている

| 名も無き者 | 2011/12/06 08:52 | URL |

ネタバレ:ラスボスはクロウ

| 名も無き者 | 2011/12/06 12:32 | URL |

クロウが31回書かれている

| 名も無き者 | 2011/12/06 23:05 | URL |

じゅうじりょだんのあいつがまさかこんなところに・・・

| 名も無き者 | 2011/12/07 16:28 | URL |

俺が来たからにはもう安心だ

| 名も無き者 | 2011/12/09 23:27 | URL |

コメ返信すらされなくなった
このブログはもうおしまいだ

| 名も無き者 | 2011/12/13 00:38 | URL |

名も無き者A>
シカフさんが主役の如き活躍を見せているように見せかけて実際そうでもない回想。

名も無き者B>
ラスボスなんてこのブログにはそんざいしません!!!!!!!!!

名も無き者C>
んなもん数えてんじゃねーよ!!

名も無き者D>
よくよくかんがえたらじゅうじりょだんのアイツもクロウだったよな・・・
でもこのクロウは別人だからな!

名も無き者E>
公園の遊具生まれのCさん…

名も無き者F>
ちょっとゼルダやってて忘れてただけであって別におしまいじゃねぇぞ!!

| LeanKurusimo | 2011/12/13 09:30 | URL |















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